モリソン小林「植物記」(六本木)2018.09.28

匂菫

イデーショップ 六本木店では、インテリアデザインと施工を請負いながら、金属板や倒木などを使って彫刻作品を制作するモリソン小林氏の個展を開催します。

IDÉE Life in Art
morison kobayashi exhibition 
"Flora of Tystnad"
モリソン小林 植物記
期間:2018年10月12日(金)~11月5日(月)
場所:イデーショップ 六本木店
作家在店日:10月12日(金)、13日(土)

オープニング・レセプション
10月12日(金)18:30~20:00
※レシピ開発や出張料理、フードスタイリングなどを行うshigeko氏によるSweets using plantをお愉しみいただけます。

【モリソン小林氏 インタビュー】
イデーの入社面接で「君はビートルズとストーンズ、どっちが好き?」
と訊かれて「僕はドアーズが好きです。」と答えたら、入社後渡された名刺に「モリソン小林」と書かれていた。

モリソン小林の「モリソン」は、もちろんドアーズのジム・モリソンから命名されたという。
5年間イデーに在籍し、その後独立。
「まだアートについて考える余裕はありませんし、言葉にする自信もありません。」
そんな謙虚で繊細なモリソン小林氏に、さまざまなお話を伺いました。


Q.  イデーに入社した当時、どのようなお仕事をされていましたか?

1995年、まだ青山の骨董通り沿いにお店があった頃、内装の施工会社から転職しました。
イデーでの仕事はおもにアパレルブランドの店舗デザイン設計です。

勤務していた世田谷の事務所は地下に鉄工、1階に木工のアトリエがあり、設計の仕事の合間にアトリエに入って、制作を手伝っていました。当時は一人一人が色々な仕事をこなしていて、夜中遅くまで作業をしていました。アトリエでは自分たちの将来のことや、ジャン・プルーヴェやロン・アラッドやトム・ディクソンといったデザイナーの話をしたり、マーク・ニューソンやカリム・ラシッドらの仕事に直接触れられたりしました。イデー全体が何かキラキラした雰囲気に包まれていて、毎日が楽しかったです。あの中で過ごせたことが、現在の礎になっています。

Q.  作品を制作するようになった経緯や、影響を受けた人・モノについて教えてください。

独立して10年は仕事が不安定で大変でしたが、仕事の中でアートワーク的な依頼が少しずつ入るようになり、空いた時間に作品制作をするようになっていました。
彫刻家の舟越保武さんの「巨岩と花びら」という本が好きで、本当は石像が彫りたかったのですが、木彫を彫りました。
金属植物の作品は、ずっとお付き合いがある中目黒のhikeさんから個展をしないかというお話しを受けたところから始まりました。
その後、simplicityの緒方慎一郎さんやminä perhonenの皆川明さん、インテリアやファッションといったデザイナーからのアートワークの依頼が入るようになり、作品制作が今までの仕事とリンクし始めて、現在に至っています。

Q. 作業工程はどういった流れで、ひとつの作品を制作するのにどのくらい時間がかかるのでしょうか。
 
木彫はひとつの作品が完成するまで向き合いますが、金属植物はイベントごとに出展する作品を、工程ごとにまとめて制作します。切り出しが全部終わってから丸棒の削り出しに取り掛かるといった具合です。額縁も全部制作しますので、作品ひとつの制作時間を計ったことはありませんが、今のところ約20点制作するとして、およそ5ヶ月を要しています。

Q. 音楽はどんなジャンルを聴きますか? ドアーズは今でも聴きますか?
 
ドアーズはたまに聴いていますが、atelier galleryによく来場される音楽家の方たちのCDをBGMに聴いています。内田輝さん、haruka nakamuraさん、上柿絵梨子さん、新村隆慶さんなどです。
最近はロックで、1番聴いているのはポール・ウェラーだと思います。



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今回の展示では、作品の植物に、深山に入り洞察してモリソン氏自身が感じた物語をそっと添えて展示します。
足下に根付く小さな生命。その姿は何事にも代え難く美しい。
その小さな声に気づきそしてその声にそっと耳を傾け、静謐でありながら力強く表現した作品をどうぞご堪能ください。

丹沢山塊の端っこ、奥多摩にもほど近い低山の麓の林道を、雨が上がったばかりの朝、うっすらと霧がかかる中を歩いていくと、ラベンダーのような、どこか心の落ち着く芳香がほんのりと漂っていました。

それは、18世紀にスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネが、香りがするという意味のodorataをつけてViola odorataと命名した花、匂菫。
僕にとっては、登山と同じように心に安らぎを与えてくれる花のひとつです。
Viola odorata L.

-----special source  morison kobayashi

【プロフィール】
モリソン小林
1995年~1999年の間イデーに在籍し独立。インテリアデザインと施工に携わりながら、金属板や倒木などによる彫刻作品を制作。
http://specialsource.jp/

【基本情報】
IDÉE Life in Art
morison kobayashi exhibition 
"Flora of Tystnad"
モリソン小林 植物記
期間:2018年10月12日(金)~11月5日(月)
場所:イデーショップ 六本木店

作家在店日:10月12日(金)、13日(土)
オープニング・レセプション:10月12日(金)18:30~20:00

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