パリところどころ La Maison La Roche=Jeanneret2022.11.08

今秋(2022年10月)発売の柚木沙弥郎さん第三弾リトグラフの制作のため5月のパリを訪れた際に、ル・コルビュジエの手がけた「ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸」を訪問したのでご紹介します。

16区のジャスマン駅から閑静な住宅街を通り抜けると、木々の生い茂った優雅な小径が現れます。その先には、1923-25年にかけてル・コルビュジエと彼の従兄弟ピエール・ジャンヌレによって設計された私邸。コルビュジエの兄で音楽家のアルベール・ジャンヌレ邸と、前衛アートコレクターのラウル・ラ・ロッシュ邸との2世帯住宅で、最初のピュリスム邸宅のひとつと云われています。


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平らな屋根やピロティ、白いファサードと緩やかに湾曲した壁面が、如何にもコルビュジエらしい美しいフレンチモダン建築の様相。シンプルで洗練された建物が、天気の良い閑静な住宅街に悠然と佇んでいます。


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建物の中を巡ると、其処彼処に美しいパースペクティヴが生み出され、内壁は彼らの理論に基づいた多色装飾が用いられ、コルビュジエの美意識が感じられます。数年前に初めて訪れた時は、彼のカラーチップ集を買って至極興奮したものです。


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建物の各所に続く、吹き抜けの明るい中央のホールと小ぢんまりした各部屋とのコントラスト、黒いアイアンでデザインを引き締めた窓枠、各所の照明や把手などの味わい深い造形、草臥れた表情が時の経過を感じさせる一人掛けのLC2、etc。何処をとっても絵になる空間です。

他にも市内や郊外にいくつか必見のコルビュジエ建築がありますが、それらはまた別の機会にご紹介できればと思います。morimo



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