第2回目は、「絵」をテーマにお届けします。 でも、壁に絵を飾りましょうという単純なことではありません。自分の気分に合わせた「居心地の良い空間作りとは何か」を探るべく、一緒にグループ展なども行われている若手女性イラストレーター/作家の 塩川いづみさん、服部あさ美さん、秋山花さんに集まっていただきました。

リラックスと緊張感が両立する空間

寺島:
今日は秋山さんがお仕事をされているご自宅に、同じイラストレーター仲間の塩川さん、服部さんに集まっていただきました。塩川さん、服部さんもご自宅でお仕事されているのですか?
塩川:
はい。作業をする部屋は一応あるのですが、食卓で描いたりするときもあるし、生活と仕事を分ける意識はなくて。「ここでご飯が食べたいな」と思うのと同じように、生活の中で描いています。仕事部屋には本当に何も置いていなくて、机の上だけがカオス(笑)。
置く家具はいいデザインのものにしたいなって突き詰めていったら、物を置くのがどんどん嫌になってきちゃったんですよね。
秋山:
私は両親もイラストレーターなので、絵に囲まれて育ったため飾っていない状態っていうのが分からないんですよね。いっぱい飾ってあった方が落ち着きます。普段は朝の7時30分くらいに起きて、お昼くらいまでが勝負。大きな絵などは電気の光だと限界があるから。
服部:
私は夜中だな。作業は自宅でしていますが、机の前にはメモや好きな歌の歌詞が貼ってあります。飾るみたいな意識じゃなくて、何となく貼ってある感じが好き。
寺島:
歌詞ですか!?
服部:
そう。描きながら歌ったりするので、必要なんです(笑)。
寺島:
生活をしている部屋で仕事をしていると、オンとオフの両立は難しくないですか?
服部:
生活と仕事を分け隔てなく、リラックスと緊張感が両立している状態がいいんですよね。部屋もきれいになりますし。空間に置いてある必要なもの自体が美しくて、いつでもシンプルな感じ。ブランコみたいなハンモックが部屋にあるので、そこで気分転換します。
秋山:
私は、美術学校用のデッサン用の椅子を使っていますが、これに座るだけで仕事に集中できます。
座りやすいとかいうことは超えて、お気に入りの椅子に座っていると、“ぴっ”と気合いが入る。
寺島:
今のお部屋には無いけれど、「こんな部屋が欲しい!」という憧れのお部屋プランはありますか?
服部:
私は書斎に憧れますね。昔、団地に住んでいたときに納戸を仕事部屋にしていたんですね。3畳くらいの部屋でデスクを入れたらいっぱいになってしまう感じで。机の前が窓で両サイドは書棚にして、まさにコックピットみたいな部屋だったんです。
秋山:
隠れ家みたいな部屋は憧れますね。私の父は、男のロマンと言って、ロフトを畳にして隠れ家的な茶室を作ったんです。そこに何回か寝泊まりしたことがあるんですが、すごく良かった。
寺島:
茶室が男のロマンだったら、“女のロマン“ってどういう部屋ですか?
秋山:
女のロマンはサンルーム!朝の光が入るサンルームに朝食を持って行って、優雅に食べるって、女性の夢じゃないですか?
塩川:
分かります。でも、私がもっと欲しいのは、ナウシカが地下で植物を育てていたような部屋かな(笑)。

見たい絵も気分によって変わるはず

寺島:
みなさんのご自宅の様子や憧れのお部屋を伺ったところで、ご自身の作品が飾られる「空間」についてもお伺いしたいと思います。みなさんの絵を購入されたいという方は、どんな依頼をされることが多いのですか?
服部:
事務所を立ち上げたので展示スペース用に描いてくださいとか、娘のプレゼントに欲しいというのもありましたね。
秋山:
大きな絵だと事務所のように飾るスペースがないと難しいかもしれないけど、小さい絵ならインテリアとして自由に飾れますよね。私の絵を買ってくれた方で、「毎日違う絵に見えるんだ」っておっしゃってくれた人がいました。
塩川:
カラーセラピーなどで、どの絵が気になったかでその日の気分を判定したりもしますよね。私は生活の中で描いているからよく感じるのですが、季節や気分で飾る絵を変えるのっていいと思います。
完成したときに「ああ、こういう気分で描いていた絵だったな」と思うことも多いので、鑑賞する人も、見たい絵が気分によって変わると思うんですよ。
空間とフィックスした絵をずっと飾るのって難しい。
寺島:
昔は建物の計画に沿って「ここに描いてほしい」とオーダーがあるなど基本的に建築と絵画はセットで考えられていましたね。空間を創造して描いたりしますか?
塩川:
「新しく家を建てたので、リビングの壁に飾りたいんです」というお話があったので、どんな空間かなって創造しながら描きました。でも私の絵は線画が多いので、がっちり決めては描きません。飾るときにふわーっと広がる感じのイメージです。
秋山:
気分によって見たい絵が変わるっていうことですが、今日はこんなイラストを描いてきてみました。男の人がソファに座って、壁に飾ってある絵を見ているところ。「ああ疲れたなぁ」って思いながら、今日はこの絵がいいなって“ビビビッ”ときているんです…(笑)。

おわりに〜

皆さん、仕事と生活を空間の中でうまく両立されているようです。お気に入りのハンモックや椅子に座ることによって、一瞬にしてオンとオフが切り替わるとのこと。ただ、ビジネスのお客様をそこにお通しすることは、やはり抵抗があるようで、玄関付近(マンションだったらエントランスの中)に小綺麗な接客スペースがあれば嬉しいとも。

また、日本の若い人は、海外に比べ部屋に絵を飾ることは少ないのではと思いますが、日本にも昔から、季節によって掛け軸を変えるといった文化があります。あまり気張らずに、小さな絵を雑誌の切り抜きを貼る感覚で気分やコンディションによって飾ると、ぐっと空間も生き生きとしてくるはずです。今後も、心地良く過ごせる空間作りについて、いろいろな視点から迫っていきます。

Member Profile

秋山 花

秋山 花東京生まれ。多摩美術大学大学院を経て、フリーランスで、雑誌、広告、書籍、webなどで活躍中。最近では秋山花_塩川いづみ「They said so.彼らはそう言った」展として韓国を巡回。共著の絵本「the day その日」も6月5日からidee shopエカルテにて発売。
http://www.hanaakiyama.com/

塩川 いづみ

塩川 いづみ多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒 国内外で展示を行うほかイラストレーターとして広く活動中。IDEE SHOP Jiyugaokaの店内壁画や、オリジナルのテーブルウェア「blanco y negro」シリーズのイラストでもおなじみ。
http://shiokawaizumi.com/

服部 あさ美

服部 あさ美「流行通信」「Number」「VOGUE」といった雑誌から書籍、CDジャケットのイラストなど幅広く活躍。2009年6月22日(月)からMISAKO & ROSENにて開催する企画展「ゲバゲバサマーショー 〜ゲバゲバな4週間〜」をはじめ、今後は作家活動に一層力を入れていく予定。
http://www.asmhtr.com/

寺島 敏貴

1974年生
設計事務所を経て、2001年イデー入社。2004年退社後、デベロッパー勤務を経て、2007年イデーへ復帰。現在法人営業部在籍。
▼ 担当業務
空間ディレクター/イデーハウスプロジェクト


Information

Galerie Bold presents 『The day その日』絵本の販売と原画展 2009年6月5日(金)〜 6月30日(火)

イデーショップ エカルテ(表参道)のギャルリーボールドにて、塩川いづみと秋山花、二人のイラストレーターによる絵本を販売いたします。期間中は原画の展示とともに、絵本の世界観をエカルテの空間を使って表現します。

塩川いづみ×秋山花『The day その日』
サイズA5判 32ページ 2,730円(税込)

注目の女性イラストレーター二人による、「今の東京」を舞台にした、同世代の女性四人の同じ一日に起こる出来事を繋いでいく絵物語。主人公それぞれの日常がリンクしあうオムニバスストーリーを、作風の違う二人が互いにインスパイアされながら等身大の視点で描いた意欲作。イデーショップ エカルテ独占先行発売。

http://www.idee.co.jp/shop/ideeshop/


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